卸売業向けインストラクションコース 【コンテンツ】
卸売業の情報システム − 卸売業の情報システム体系の概要編
第55回「業務システム化の概要(その6)」
1.業務システム化の概要
(2)発注から買掛・支払までの業務の解説
@発注業務の概略
★発注業務の概要
定番商品の発注業務は、まず計算により最適数量を決めたり、サイクリックにほぼ一定数量にして数量を決定します。特売商品については商談によって企画対応、PB対応等の商品・数量【場合により配荷店舗の割当、日別配分指定等もあります】が決まります。決まった商品・数量を定番・特売の数量バランスを調整し発注番号をつけて仕入先に発注し、設定されたリードタイム後に入荷する予定が立てられます。
発注の際に仕入先との取引基本契約により一度に発注する最低物量/金額などが定められている場合があって、これを下回ることはできません。また端数【ケース入数未満のバラ数】発注を禁じている場合もあります。そして配送車1台分をまとめて入荷させることによって割引きする規定が設けられることもあります。同時に配送車に依らずにパレット数や金額で割引を規定する場合もあります。さらには入荷を基準【セルイン】とせず、小売業へ出荷すること【セルアウト】を基準としたり、POSデータで確認したりする場合もあり発注商品・数量は複雑な決定ロジックとなっています。
A発注業務の変化と課題
★在庫確保と企画商品設定
仕入先とともに小売業の企画商談を行うと、度々数量の過不足等の問題点が指摘され、次の商談の条件改善の交渉材料にされることがあります。そのリスク回避を考えると、該当得意先の専用商品として在庫を確保しておけば欠品や納品の遅れ防止に対し有効だと考える傾向にあります。その結果中堅大手卸売業では数千〜1万アイテムの企画商品【同様の扱いのPB品も含みます】といわれる得意先専用在庫商品が物流センターに山と積まれる事態を招いています。一方で商談の精度は相変わらず低いままで改善されていません。精度が悪いまま物流センターに負荷をかける営業が多くなっています。一昔前のように全社員一丸となって営業し、物流改善し、事務作業を減らすという改善活動が形骸化し本質を崩さんばかりの大きな課題となってきています。もちろん改善に取り組んでいる卸売業も多く存在します。
★仕入先メーカーの運賃分割請求の動向
特に少額取引では顕著ですが、仕入先が運賃を伝票別行、または別伝票で課金、請求する動向があります。卸売業側も実際の原価に組み込まれないほうが経営上考えやすいこともあり、物流費用と商品代金を分離するよう求めている【監査など】場合もあります。これから先は配送料込みの商品代金がなくなり、やがて商物分離での仕入と経費とが別処理になるかもしれません。
★卸売業営業とメーカー営業の遊離
かつては得意先との大きな商談は卸売業営業とメーカー営業が同行して訪問していました。卸売業企業の合併統合などの影響で人員がさけなくなるほど削減された営業は、すべての商談を個別に同行できなくなり、メーカーによっては売上減少にまで至ったようです。そこでメーカー営業が小売業に対し独自に商談を行い帳合卸売業に事後連絡する事が増え、お互いの課題といわれ久しい状況です。
つづく【次回は第3部 卸売業の情報システム体系の概要 (2)発注・入荷から買掛・支払までの業務の解説 B入荷・仕入先返品業務の概略 C入荷・仕入先返品業務の変化と課題
です】
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