卸売業向けインストラクションコース  【コンテンツ】

卸売業の情報システム − 卸売業の情報システム体系の概要編

第53回「業務システム化の概要(その4)」

1.業務システム化の概要

(1)受注から出荷までの業務の解説

F売掛業務の概略
★売掛業務の概要
日々の受領情報を受け取り、訂正を反映し売掛計上(確定)を行います。
受領情報の訂正には納品時の数量の変更、納期の遅れ、まれに商品違いによる欠品、単価の違いなどがあります。
数量の変更については受領のタイミングで受領書に正しい数量を手書きして修正印またはサインをもらい売掛部署に届くので、それを訂正処理することになります。納期の遅れは営業に確認の上、納品日を確定します。
商品違いは→間違った商品は納品せず欠品とするか、または正しい商品を送り届けるなどの処置を行い受領書を受け取り売掛部門に届けられます。
単価の違いについては→営業のチェックや情報システムとのチェックなどいくつかの部門にて正しいとされる単価を明らかにして、さらに得意先のバイヤー・仕入部門等と事実関係を調整して問題解決された結果を売掛計上します。
商品・単価の違いは→タイムラグが数日発生することもありますので、該当得意先締日を超えていないか注意が必要となります。
直送伝票は→数日〜2週間(場合によりもっと)ほど遅れて届くことがあり、タイムラグが大きいです。これらの処置は数々の問題をはらみ十分な対応を練っておかねばなりませんので、対応の工数が大きく変わるところです。
売掛業務全般に各得意先ごとに月中の締日が定められていて、その日までに計上された売掛金を請求書発行に受け渡します。得意先によっては月間に2回、3回の締日が定められることもあり、対処方法はより複雑になることがあります。当業界の場合の得意先締日は毎月20日が最も多く、次に月末、25日が多いようです。いずれも当月の末日に決算処理をするためと思われますが、最近はその理由が(業務の起源が受け継がれていないようで)不明確である場合があります。

G売掛業務の変化と課題
★物理的な受領書【伝票】はなくなる方向
小売業による発注から受領書までがEDI等の企業間データ交換により出来上がっていることが多くなっています。しかし受領書に手書きで訂正をするとなると、必ず手入力が発生し、同時に入力ミスもついてきます。訂正を必ずコンピュータで行うのであれば、訂正業務自体を卸売業のHTで対処したり、小売業の検品HT等で対処し、その後に企業間でデータ交換すればその履歴が残り、事務所での手書き修正伝票からの入力をなくすことができます。今では大手卸売業では大半の、そして中小卸売業でも少なくない割合で受領書の判取り(押印)はなくなってきています。
★直送の伝票処理は進化せず放置?
メーカーから小売業への直接配送・納品は受け渡しの際に受領書無しの対応ができない/許されない卸売業の事も考えると伝票は必要で判取り(押印)も必要とされます。またメーカーの配送車からメーカーの事務、訂正等の反映処理、卸売業への郵送という長い工程を経て売掛部門に数日〜2週間後に届きます。これこそ企業間ワークフローで解決されても良さそうなことであるが、ほぼなんの標準化もなく放置された状態で、いまだに昔ながらの処理業務が続いていて問題だと思われます。この遅れが販売データへの反映にも遅れをきたし、販売データの活用に支障があります。今後の進化に期待するところです。



つづく(次回は第3部 卸売業の情報システム体系の概要 (1)受注から出荷までの業務の解説 H請求・回収業務の概略 ほかです)

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