卸売業向けインストラクションコース  【コンテンツ】

卸売業の情報システム − 卸売業の情報システム体系の概要編

第52回「業務システム化の概要(その3)」

1.業務システム化の概要

(1)受注から出荷までの業務の解説

D配送/得意先返品業務の概略

★配送業務の概要
配送車が自社車両である場合、本来はじめに行うべき配送車両の始業点検が行われていない例が多かったが安全管理が強化され改善されてきています。次に積込リスト、配送リスト【指示】により、配送逆順に積込荷物の口数を確認します。場合により再度配送先の確認を行います。続いて荷物の転倒防止等のための養生を行い、配送先に安全運転し到着時に先方での受付、送り状の手渡しまたはASN送信の端末機による確認を行い、荷降ろし、口数検品を受けます。一部の得意先小売業では抜き打ち検品を受けたり、全検品を受けることがあります。またさらなる例外として店頭・バックヤードへの運び込み、さらにごく一部では店頭陳列まで行う場合があります。その際、トラックの回転率が著しく低下することを避けるため助手をその役につかせ、ドライバーは一人を残し、次の配送先に移動することもあります。
受取の承認行為として納品伝票の受領書片に押印やサインをもらったり、受取票を受け取ります。近年ではこれをすべてEDIで済ませることによりペーパーレス化する例が増加しています。
★得意先返品業務の概要
得意先が商品を返すことがあります。返品理由によって対応は異なりますが、概ね配送時や別便で受け取った商品を返品受付し作業します。返品された商品は一度仮置き【まずは全て不良在庫としてカウントします】し、同時またはのちに良品であるか不良品であるかを検査・仕分けし、良品はなんのダメージもない状態ですので、販売用の在庫に戻すことがありますが、多くの卸売業では仕入先別の返品庫に格納します。また返品伝票を発行します。

E配送/得意先返品業務の変化と課題
★トラック不足、ドライバー不足
センター納品が著しく増加し、トラック便の数は減少傾向にありました。しかし、センター納品の増加が落ち着いた今、社会全体のトラック不足、ドライバー不足が緩衝なしに直撃で影響してきました。ドライバーは過去においては自社雇用が圧倒的に多かったのでですが、ここ25年間で多くの卸売業が別会社または外部委託に変えてきました。給与体系の違いなどを是正できないと考えた卸売業が、会社を分離させることで体系を自由に設定できるように対応したというわけです。中には庫内物流作業についても外部委託化する傾向(まだ身内の子会社程度の分離が多い)もあります。今後、人材不足の原因である給与不足は社会全体との比較を余儀なくされ、高収益事業者へ良いトラック・人員が流れることが予想(引越業⇔宅配業)されます。
★検品の工数
卸売業同士の議論の場が減ったことにも原因がありますが、隠れた差としてセンター納品時の検品工数が大きくなっています。卸売業同士で検品方式の違いがかなりありますので具体的に比較できないことが多く、その実態が詳らかになることが少ないという現実があります。最大の要因は出荷精度です。精度が高い卸売業は年間に1〜2回程度の抜き打ち検品を受けるだけなのに対して、精度が悪い卸売業は毎回のように抜き打ち検品および全品検品対象になりえます。この場合、配送車が一つの場所に留まる時間が長くなってしまいます。またASNをきっちり送信できるかどうかも厳しく問われています。



つづく(次回は第3部 卸売業の情報システム体系の概要 (1)受注から出荷までの業務の解説 F売掛業務の概略 ほかです)

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