卸売業向けインストラクションコース

卸売業の情報システム − 開発体制と手順編

第31回「開発体制と手順(その2)」

消卸売業のシステム開発は王道の基幹システム構築と取引環境課題に応じたテーマ別のシステム構築に分類されます。この分類を考慮しつつシステム開発手順と、それに必要とされる開発体制についてカストプラス流にアレンジしてご紹介します。

(2)システムの概要を決める
@社内問題点の整理
社内問題点といっても、社外の動きに起因しかつ対取引先への基本動作にも大きく影響するものがほとんどです。社内といいつつ社外対応をしているようなものです。しかし純粋に社内のあるべき姿を追求することがはじめに必要なことととらえてください。
整理の手順としては項目を列挙し、分類し、その対応を考えるということになります。まず、どのような問題点があるかまたはどのようなニーズがあるかを列挙します。それをいくつかの属性によって分類します。例えば、緊急性があるもの/ないもの・個別取引先案件への対応の色彩が強いもの/全取引先に共通するもの・運用規約やシステムの制約の理解不足に基づくもの・開発コスト対効果が高いもの/それほど効果がないもの・技術力に依存するもの/簡単に用意できるものなどの分類をします。分類によって列挙された問題やニーズの優先順位付けをしてみるとよいでしょう。ここで大事なことは抜けもれなく列挙することです。「こんな未来のシステムなんて当社では作れないし不必要だよ!」という前に列挙することをおすすめします。
単価決定方法とその評価とか商品関連マスタの連携自由度を向上させるとか、物流作業生産性をちょっとだけ高める工夫などは問題点やニーズとして大切に扱うようにします。現代の卸売業にとって“改善の停滞こそが最も大きな課題”であるといえるからです。また当然だと思っていて若い社員にのちのち説明がつかないことも、先輩社員からの申し送り事項として列挙しておきたいものです。例えば、検品をしていない理由や反対に二重検品を行っている理由、伝票を発行せずに済んでいる理由や逆にこのペーパーレス時代に確認リストを必ず出力して何を確かめているのか?といったことです。
列挙されたものが抜けたり漏れたりすると、あとで対処の遅延を起こすばかりか、取引先と本来、本質、安心、安全、丁寧なことではないといったクレームにつながって、時間を多く失いつつもめてしまうことにもつながります。まずはこうした社内で対応できる問題点やニーズをしっかり列挙し分類し、対応策や申し送りを行っておきましょう。



Aシステムコンセプト創り
今まで述べてきましたように事例研究を行い、問題点やニーズを整理できたら、早速システムコンセプトを作ります。社内での同意を得るために作る企業が多いのですが、取引先に見せる【プレゼンテーションする】つもりで作るとよいコンセプトができるでしょう。
事例研究や問題点の整理を行ない、いよいよ「何を」すべきかを決めて行きますが、情報システム部門がリードすることはよいとしてもあまり独善的に進めると失敗することが多々ありますので気をつけるべきでしょう。
「何をすべきか」は問題点の裏返しや、要望の中から実現容易性や投資対効果をランク別にするなどしてテーマを選択します。
テーマは例えば、物流システムの取り組み、在庫政策、営業部門向けのスマート系情報提供、コスト分析、小売店等支援などを強調すると良いでしょう。これらは外部にもアピールすることができるテーマと言えましょう。また、社内だけに向けた新業態開拓の取り組み、EDIによる業務の効率化、メーカー新取引制度への対応、得意先・メーカーとの取り組みによるSCMシステムの効果等が挙げられます。
社内の意見は様々です。部門間、部門内上下関係における利害関係の不一致やシステムに対する理解不足,企業としての狙いについての理解不足、トップ間のコミュニケーション不足など多くの問題をはらむことがありますので各企業独自の留意が必要となるでしょう。ここでできるだけ全員のコンセンサスをとり、理解をしてもらうことで情報システム部門の評価も会社全体の評価も上げることができます。
システムコンセプトとは企業の狙いとその効果を整理し、誰が責任を持っていつまでに実現するのかを表わすことです。またその際の効果とはいくらの投資に対して還元がいくらあるのかを経営資源別に換算することである。経営資源とは人・物・金・時間・空間・情報・環境・技術等です。それぞれに資するメリットがあるはずです。目的や目標をはっきり提示することも大切です。システムコンセプト創りは数年おきに行うとより理解が深まり、システム化戦略の立案・実行がしやすくなることでしょう。

つづく(次回は「開発体制と手順(その3)」です)

元のページにもどる
トップページにもどる

カストプラスへメールを送ります

All rights reserved,Copyright2019Custplus Inc.