卸売業向けインストラクションコース

卸売業の情報システム − パートナーの選択編

第28回「パートナーの選択と対処方法(その2)」

卸売業の情報システム創りに際して、どのようなパートナーと組むべきかをカストプラス流にアレンジしてご紹介いたします。

(2)パートナーの選択と対処方法
卸売業のシステム化をはかるためのパートナーを選ぶには、どのようにすれば良いか考えてみます。

Bシステムの組み合わせ方
従来から定着している卸売業システムの大分類は「基幹系システム」と「情報系システム」です。費用の問題や開発規模・期間、また営業部門から多く上がる要望などを実現することが情報システム部門の主要な業務になっていることから、「情報系システム」を手がけることが主要業務のようになってしまっている卸売業をよくみます。悪いことではありませんが、その課題解決の本質的中核にはほとんど基幹システムの改善というテーマが隠れています。特殊なチェーン店が特殊な支払い方法を指定してきて、ある月だけ締日を臨時に増やして、請求書を分けて発行してほしいなどということがあります。これは売掛管理システムにおいて月間の複数回の締め処理が多様に対応できれば、特別に何かをすることなくマスタ設定で実現できるのかも知れません。しかし、予算や期間やノウハウの問題があって基幹システムは変更せずに集計処理でデータを仕分けして、手作業で請求書を分ける対応をしていることがあります。1年に一度なのでそれでも良いと考えたのでしょう。ほかに特売商談において限度以上に値引きをする場合、基幹システム上にある粗利率チェックに引っかかり警告が出てしまうので、一時的に原価をマスタ上で低くして通るように対処していることがあります。それでは正しい利益管理ができません。基幹システムを変更して商談単位の損益もチェックして単品では粗利チェック警告が出ても商談全体でセーフというような新しいチェック基準を追加すると解決します。しかし何度も申し上げたように予算と時間とノウハウと経験といろいろあってやってはならない基準破壊的マスタメンテナンスをやってしまうのです。不景気がこれだけ長く続けばそうなるのも仕方がないともいえましょうが、利益管理は今だからこそ重要で崩したくない基準です。さらに情報系についてもDWHとかBIツールを導入したから現場で何でもできると思っている卸売業が多いのですが、実際はその手のツールはできているようで、何も情報を掴むことはできていないことが多いのです。単なる集計や分類が行われていて、経験豊富な営業マンはその数字を見ていくつも判断でき、そして部下に指示もできるでしょうが若手はその上司のやり方が独自流であることがわからないので、進歩ができません。その上司が定年退職した後も毎月同じデータを並べていますが、同じ判断はできません。取引環境が変化していても同じことを繰り返していてかえって足を引っ張ることになるのです。情報の出し方、見せ方、使い方は単なる集計よりも目的を明確にした分析、そして実際の行動に反映しやすい最適指示を出力できるようにしなければなりません。しかし、それに気づいてもいないことが多いので実に残念です。
卸売業システムは「基幹系システム」と「情報系システム」でできています。さらに最適指示をAI等(なんちゃってAIでも良い)を活用して「スマート系システム」として第三のシステム体型を確立すべきと思っています。スマート系については後述します。
システム構成は外付けのパッケージソフトやサービス、ツールを追加し続けていて基幹システムを注目しない傾向があります。さらに情報系という分類も外付けアウターシステムによってあたかもそれが情報系のすべてだと言わんばかりの位置づけに昇格している企業も少なくありません。その後にまた、情報系の統合のような話が出てきます。
アウターシステムについては次でも述べますが、その機能設定範囲の診断をプロに行ってもらうことが最も良いと思います。その提供者は少し逆のことを勧めてきたりもしますのでご注意を。第三者としてしっかり診てくれるパートナーが必要です。

C基幹システムの再構築
アウターシステムばかりが細かく導入され、基幹システムを囲うように目に触れないよう気をつけている企業が増えました。基幹システムはこの不況の中では手を付けられない危険物/厄介者なのです。
しかし大手卸売業を筆頭に数十社が、この数年基幹システムを再構築せざるを得ない状況に追い込まれています。筆者も実際に数社の基幹システム再構築を手伝わせてもらいました。5年や7年はざらにかかりますが、覚悟を決めて構築したのです。外付けのシステムが基幹システムを取り囲んで見えなくしてしまうほどになると、本来、その外付けであるべき機能/サービスか?または基幹システム自体の機能として備わっているべきものなのか?見極める力が必要です。一例ではマスタのもたせ方の課題があります。近年ではマスタ情報は階層構造をもたせることが一般的で、固定的な情報とたまに変更される半固定的な情報、毎月・毎日のように変わる情報を分けてもたせるという階層です。この一部がアウターシステムで便利に活用されている場合に、基幹システムの再構築を機にどうすべきなのかを判定しなければならず、そのためには業界の標準的な対応方法を知っていなければなりません。営業向けの情報サービス機能も同様に課題になりやすいです。この対応を間違えると「せっかくこの機会に廃止予定であったアウターシステムが残ってしまい、しかも月額費用が上がってしまった!」などということにもなりかねません。
いよいよ基幹システムの再構築をしなければならないときにはプロのパートナーが必須になります。また逆に再構築などしなくて良いという状況であっても、機能分担の仕分けはアウターシステム側の提案に頼りっきりではなく、同じ程度のしっかりとした見極めが必要なのはいうまでもありません。アウターシステムの提供者は、その利用継続期間を長く求めますので、できるだけその企業の中核機能のために使ってもらいたいと思うのは当然のことです。しかしそれが後年、問題となってしまってはいけません。残念ながらこの問題を抱える企業は卸売業では50%以上、ここではほぼ関係ありませんが、メーカーでは70%程度に登ります。不況とパートナーが適切に選ばれないことによって、業界利益の大きな損失につながっているのです。

つづく(次回は「(2)パートナーの選択と対処方法(その3)」です)

元のページにもどる
トップページにもどる

カストプラスへメールを送ります

All rights reserved,Copyright2019Custplus Inc.