卸売業向けインストラクションコース

卸売業の情報システム − パートナーの選択編

第25回「環境の変化(その1)」

卸売業の情報システム創りに際して、どのようなパートナーと組むべきかをカストプラス流にアレンジしてご紹介いたします。

(1)環境の変化
近年のコンピュータシステムはオープンシステム化され、十分な期間を経ています。それに伴ってパートナー選びが従来と変わってきています。いままではコンピュータメーカーに直接担当してもらうか、大手コンピュータ販売会社や地元のコンピュータ販売会社またはソフトウエア開発会社に担当してもらうことでシステムの開発ができましたが、これからどうなるか?考えてみたいと思います。

@大規模なシステム化はなくなる
すでに述べたように卸売業のシステム化の進展はある程度の収束を見せてきている。これはシステム化の完成と考えている人もいるようですが、まったくそうではありません。システム投資の削減,システム人員の育成不足,コンピュータのアーキテクチャーの切り替わりなどが影響し、大きな変更ができないでいるのであり、そうしたことさえなければ劇的に変化しているはずなのです。もし今後全システムに渡り新規開発を行なおうとすると、小規模卸売業であっても1億円規模のソフトウエア投資が必要となるでしょう。中規模卸売業で2億円規模、大規模卸売業ではおそらく4億円以上の投資が必要となり、全国卸売業規模では上限がないほどになるのです。10年から15年前まではこの1/10程度で十分開発できたわけですからこの変化はすさまじいと評価できます。これはソフトウエアの技術者不足による値上がり分と、卸売業業界の例外取り込み率の高さゆえなのです。「卸売業は変化対応業である」とよくいわれますが、これがあるため同じソフトを共用しにくい環境を作り、また技術者が育成されにくい環境にしてしまったのです。
大企業ではその規模が大きすぎるがゆえに、一括開発のリスクが有るため長時間かけるなどの工夫をしなければなりません。中小規模では投資額を極力削減する意味で、課題をすべて解決できないとしても小刻みにシステム投資していくことになるでしょう。

結論としては「もうこれからは大規模ソフトウエアの一括開発はない」ということです。

次の図は弊社調べのシステム投資比率(加工食品・化粧品日用品等の卸売業の平均値)を年代別にあらわしています。

中堅先進卸売業では、システムの企画力があり、システム化テーマがバックログとしてたくさん残っている状態が続いていますが、システム投資の回収効果も大きいので、年商の増加がありながら、システム費用を抑えて健闘しています。
大規模卸売業はかかえるテーマは大きくてよいのですが、それを実現する力が規模に見合わず、ERPに徐々に移行していきました。そのためか、システム投資の費用が倍増しているケースも少なくありません。アーキテクチャはオープンでもパッケージがかなりクローズしている点もコスト増の要因です。今後ERPは減少する見込みです。
小規模卸売業は基本的には経費節減を考え、システム投資も最小限にとどめる傾向が強いです。10年前20年前のシステムを焼きなおして使っている例もかなり多いようです。ただし中小の統廃合の結果、年商アップが見込まれることもしばしば見られ、新規システム開発に着手する動きも見られます。中堅卸売業がこのあとを追うと予想できます。
【上図に関して;最近はシステム投資の金額を調査することが難しく必ずしもサンプルは十分ではありませんし、その結果としてこの図が正確であるとは言えませんので誤差につき予めご了承願います】

A先進システムに期待が寄せられる時代を契機に
従来の汎用機やオフィスコンピュータからUNIX(Linux)サーバやWindowsサーバなどで稼働するシステムにかわり、そしてビッグデータ活用、AIエンジン導入とシステムを取り巻く環境が大きく変わりつつある現状において、卸売業のシステム化環境はどのようになるか考えてみます。
卸売業業界では十分なコンピュータ要員を抱える企業は少なく平均的には専従者が0〜1名程度です。もちろん大手企業では外注支援者を含めて100名超の情報システム本部を抱える場合もあります。しかし全体としては十分な要員はいません。このことからもともと十分な体制は作られていなかったといえますが、いま、そうしたシステム開発の変化について行くためには数限りある人員に最新のテクノロジー情報を十分与え、かつ事例研究も共同で行なうなどの“相当”の企業努力が必要であるといえるのです。しかしながらほとんどの企業はそれを行なっていません。かつて「『経理部電算課』では戦略的情報活用や戦略的物流システムの構築はできませんよ!」などといわれたことのある企業においてその傾向が強く(意味がわからない場合は読み飛ばしてください)、コンピュータの活用などとは考えず経費のかかる一種の高級高価な文房具と思っているようですね。
結論をいいますと、コンピュータを本気で活用すべきであることに気づくべきだということです。
近年叫ばれている“IT”とか”IoT”も本来は、情報システム化を高度に使いこなすという意味では同じ事をいっています。ただ、マスコミなどでいわれる“IT”は、単なる「コンピュータの使用」を指していたり、「コンピュータを操作できる事」を指していたりします。本来のシステム化は高度化し複雑化した社会における要求に応えなければならず、簡単ではありません。これからはかなり力を入れて開発していかなければならない時代に突入していきます。しかしいま休んでいては他の産業から大きく差をつけられ離されていくことになってしまいます。


つづく(次回は「(1)環境の変化(その2)」です)

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