卸売業向けインストラクションコース

卸売業の情報システム − コンセプト設定編

第22回「アプローチの方法の設定(その4)」

卸売業の情報システム創りに際して、どのようなコンセプトを描くべきかをカストプラス流にアレンジしてご紹介いたします。

(4)アプローチの方法の設定
卸売業のコンセプトを具体的に設定する時、なかなか企業全体の戦略にバランス良くテーマ設定できないことがありますので、ここではそれを少し整理できるように考えました。卸売業のシステム化につながるアプローチを分類整理してみます。

Iリードタイム、ジャストインタイムへのアプローチと効果
得意先からのリードタイムやジャストインタイムの要求は卸売業の物流サービス機能の柱になる部分でしょう。多くの卸売業は得意先要求に適合させるべく、該当の配送車が出発する時間をターゲットとしてその前の積込作業←検品←荷姿別合わせ作業←出荷(ピッキング)作業←出荷指示というように、作業手順とは逆順に段取りをつめていきます。また得意先単位ではなく、もう少し大きなくくりで配送コースや配送方面などの単位でどのような段取りが適正かを考えています。また1日単位で清掃、定期補充、入荷時間帯とのバランス、夜間対応が必要な場合の人員や設備の準備などを考えておきます。それが曜日ごとに変動があることが多いので、月曜日の段取り、火曜日の段取りといった具合に対応方法を決めて準備します。このように納品指定時間や納品予定時間の設定にディペンドした受発注、入出荷、在庫管理を核とした物流システムが用意されることになります。最近では生産性や精度(一部しか自動採取できないものの)を管理したり、コストを計算して営業に報告できる仕組みを追加している企業も増えています。
リードタイム設定やジャストインタイム設定が問題になることがあります。一定のムリムラムダのない範囲では良いのですが、得意先個別要求の行きすぎの傾向が強いいま、かえって全体の効率・品質が落ち、他の得意先に迷惑をかけたり、信頼を損ねてしまうという事態が少なくありません。個別要求の行きすぎのチェックには一定の線引きが重要です。社内でよく話し合い、また外部の意見も良く聞くことが肝要です。作業で無理して、システムを改造して、コストも度外視して応えるだけの価値はどこにあるのかを考えましょう。

J配送・納品・店頭検品等の面での変化による効果
配送計画システムの導入はなかなか難しい面がありますが、配送車の手配がうまくいってないとお感じであれば、すぐに改善を考えるべきでしょう。ぎりぎりの運営の中で配送コストを抑えていくことは大変ですが、まだ改善の余地はあるはずです。
商品そのものの納品方法を見直すという点では、カテゴリ別(得意先の標準店舗の通路別)納品がポピュラーですが、これをすでに何年も続けている場合には、最適な分類になっているか得意先に再確認すると良いでしょう。もしかすると店舗の変化についていっていないかもしれません。3年程度に一度見直し=総点検をしてみると良いでしょう。
配送の力という点で、もうほとんど考えていない卸売業が多くなっています。先述の配送計画システムなどは不要と感じています。それは、得意先の物流センターへの納品が多くなり、店別配送が極端に少なくなった卸売業です。いわゆる「センター納品」ですが、それが多い卸売業では95%以上と支配的です。配送計画というよりA地点からB地点への移動という色合いです。少ない卸売業は0%〜10%ほどなので、非常に大きな差が生じています。センター納品には大きく店別納品型と商品合計納品型があります。しかし何らかのトラブルにより急遽、各店別に納品してほしいという要求が電話一本で来ることが多くなっています。または、商品別だった形態を「来週から各店別に変更して欲しい」といわれることがあります。ケース比率が大きく変わってバラに変更になったり、作業者の人数が大きく変わるなどの対応が必要なのですが、先方は30年前と異なり、そうした背景を知らないので、不可能に近い要求だと認識できません。そうしたことに備えるために何時も話し合いの機会を設けるとか、緊急の仕組みを用意するとか、これからの卸売業の対応力をどう設定するかを考えておく必要性が指摘されています。
店頭検品に関してはセンター納品時の検品を細かくできないので、梱包数のチェック程度になっています。昔は精度の高い卸売業のみ店舗の受入れ時の検品を省略させてもらえたのですが、いまではどの卸売業でも同じように対応されることが多いようです。中には抜き打ち検品で成績が良い卸売業については抜き打ちのタイミングが長く少なくなるという対応をしている場合がありますが、卸売業の工数削減にはつながらないので、精度向上に燃える卸売業は減少しています。高精度は価値では換算させにくくなってきているので、アプローチを決める際は(実際の活動には関係なくても)得意先に理解を促すようなアイディアがあると良いでしょう。

K物流情報処理システムへの取り組みとその効果
近年、物流システムが高度にかつ複雑化していることもあり、すべての機能がそろっていると思しきWMS;Warehouse Management System=倉庫物流管理のシステムのパッケージソフトウエア導入を進めている企業が多くなっています。WMSパッケージは大規模物流センター向けから小規模倉庫向けまでラインナップが整ってきた感じがありますが、価格の差が大きく開いているようなので、希望する機能要件をはっきりとさせて投資と効果が見合ったパッケージを選ぶようにして欲しいと思います。
大企業ではこの20年ほどの間、高額なパッケージまたはERPを信用して導入する傾向があります。しかし投資に対する効果は芳しくないようです。見極める力、物流をどうするかという信念にこうした結果が比例しているようにうかがえます。
一方、自社開発で物流システムを導入する場合もあります。ハンディ端末パッケージやカートピッキングシステムで入出荷をおこない、基本的には機能別に自社にフィットする部分機能のシステムパッケージを活用しながら個別部分は自社開発でつなぎ合わせるという感じです。これは先ほどのわが社の物流をどうしたいのかということが明確であれば、高率で成功しています。しかしすべてを自社開発でシステム導入するという傾向はもはやなくなりつつあります。自社開発といいながら、今ではすべてを作るという感覚はなくなっています。
そうしたことから、物流システムをうまく導入するには普段から世の中にどのようなパッケージが売られており、事例として自社に類似したものがないか、などの調査をしつづけなければなりません。急いで選ぶと失敗の危険性が高まります。調査が大変でできないという場合には、信頼できるシステムベンダーなどとのつきあいを欠かさず、同業企業などとの接触時に物流の話題を話し合えるように習慣付けることが効果的と考えます。


つづく(次回は「(4)アプローチ方法の設定(その5)」です)

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